3/30

シンくんの湿疹はほぼ引いて、だいぶ元気になった。でも、いつもにくらべて昼も夜もよく眠る。昨日はアキが来て、一ヵ月ぶりに見る息子の成長ぶりに驚いていた。
Birgitteが東京に行く日が近づいているので、今夜はシンくんを母にあずけて、二人で夕食を食べに行った。Bは最近ずっと、16mmのビデオカメラ(すごく重い)と三脚を持ち歩いていたけど、今日は手ぶら。いつもはシンくんを抱えているわたしも、今日は手ぶら。みがるな二人は、さくさく歩きながら、色々話す。料理に白魚が出てきた。欧米人がまるごとの魚に慣れていないのを知ってるので、「これ怖いんじゃない?」ときいたら、うなずくB。「だって目が私を見てるよ」。しかしデンマークでは、豚の丸焼きを食すこともあるとのこと。わたしだったら豚の顔は直視できない。豚にくらべたら白魚なんてめっちゃちっさいやんね。でもそういう問題じゃない。慣れの問題。なんだかんだ言って、彼女は完食してたけど。お会計しようと廊下を歩いてたら、どっかの部屋から男たちの声で「1,2,3,ダー!」ときこえてきた。Bに「あれ何?」と案の定きかれる。有名なレスリングの人がいてね…と一応説明。「みんな宴会であれを言うの?」「いやそういうわけでもないんやけど…」ややこしいなあもう。(男たちへの苦情)ようやく春めいてきたので、空気はあたたかく、沈丁花の香りがあちこちに浮かんでいた。ビギッタは明日から直島。
じゅりが電話してきて、「あんた明日『一力餅』でみたらし団子3本100円やから、行った方がいいで!!」と強くすすめられる。しかも午後には売り切れ必至やから、午前中に行きや!とまで。みたらし団子が好きって言った覚え、まったくないんですけど……。(嫌いじゃないけどさ)ちなみに彼女は今月結婚しました。自分の式では泣かなかったわたしだけど、じゅりの式では有馬と二人して号泣。

3/28

シンくん、熱を出す。いきなりだし、他に何も症状がないので、突発性発疹やろな~と思って病院に連れてったら、ほぼおそらくそうだろうとのこと。高熱が3,4日つづいたかと思うと急に熱が引き、体中に湿疹があらわれ、それも数日で引いてゆく。1歳前後でかかることが多いのだそう。でも、湿疹があらわれるまでは、断定できない。「解熱剤は使わなくていいけど、お守りとして出しておくね」という女医さんの判断がすばらしい。解熱剤はできるだけ使いたくないけど、夜中に40℃とかに達したらどうしよう(赤ちゃんは比較的簡単にそれくらい熱を出すので)という親心をみごとに汲んでいる。結局最高で39.6℃に達したけど、わりと機嫌がよかったので、薬は使わず様子見。その後さあっと熱は引き、今は湿疹だらけ。熱が下がったとたん急に機嫌がわるくなった。かゆいのかな?と思ったけど、掻く仕草はあまりない。言葉が話せれば、何かしら対処してあげられるのにな。今は、ひたすら抱っこ。

好きだった作家の一人、アントニオ・タブッキが亡くなった。妹に「インド夜想曲」をすすめたところだった。数年前、表紙とタイトルに引かれて読んだ「島とクジラと女をめぐる断片」もう一度読みたくなった。
出産後、追いついてなかった高田郁の「みをつくし料理帖」シリーズを最新刊まで一気に3巻ゲット。やっぱりおもしろい!

simple

あるときまで、わたしの中で「シンプル」という言葉から連想されるのは、引き算だった。でも、アートディレクターの大貫卓也が以下のようなことを言っているのを読んでからは、引き算的なシンプルだけではなく、足し算的なシンプルもあることを知った。
「本当にシンプルでいい広告というのは、言わなくてはいけない要素をそぎ落とすのではなく、全てを足して、簡潔に一つで表現している。捨てるのではなく、全部足して、いかに一個で表現できるかということ」
いくつかの道があって、どれか一つを選ぶ。それはつまり、他の道を捨てるということだから、引き算的なシンプル。そのいくつかの道というのは、誰かがすでに舗装したもの。そうではなく、鬱蒼としげる山道の中を進むように、つぎつぎ立ちはだかる難問をひとつずつ乗り越え、どうにか頂上を目指す。着いたときに振りかえると、ひとつの道ができている。それは、足し算的なシンプル。後者の方がよっぽど大変そうだけど、最近はそっちに心ひかれる。

3/22

小さな水場がある公園で、小学生が小魚をとっていた。何かを呪文のように唱えているので、なんやろ?と思って耳をすませたら「オバハン チャーハン テンシンハン!」とくり返し言っていた。3つが同列に並んでるのがすごい。

3/20

陽射しは春なのに、なかなかあたたかくならない。しかしBirgitteは、ガラッとベランダの窓ガラスをあけ、とことことテラスに出て「う~ん」と伸びをして、まぶしそうに空を見上げ、「まるで夏ね!」さ、さすが北欧人。「窓あけっぱなしでもいい?」ヒーターの換気が必要だったので3分だけあけて、即しめました。
北欧人にとって太陽の光は磁石のようなもので、吸い寄せられるようにしてフラフラ外に出てゆく。晴れていたら、何が何でも外に出ないと気がすまないみたい。
今日はみさきと爽ちゃんがきた。シンくんはだいぶ興味をしめしていたけど、まだお互い獣同士のような感じで我々(ママたち)が割って入らないとケガしてしまう。早く仲良く遊べるようになればいいのにね。
21日は、アキの誕生日。12時ぴったりにハッピバースデーの電話。ほしがってたシャーペンを、わたしの洋服が入ったカラーボックスに隠してきた。言ったらすぐ見つけて、喜んでいた。

3/17

色々な用事が重なり、一ヵ月ほど大阪にいる。
今日は、何も予定がなく、しかも天気もよかったので、近くの公園へシンくんと散歩に行った。このあたりは昔から子どもが多くて、今日もたくさんの小学生が公園中を走り回っている。ブランコがあいていたので、ふたりで乗って、ゆらゆら。大阪の男子小学生ってずーっと見ていられる。それくらいおもしろい。しばらくそうやって観察していたら、3年生の男の子の一人が隣のブランコに乗ってきたので、話しかけてみた。
「わたしも昔、20年くらい前かな、五小に通ってたよ」と。
すると彼は「えっ!」と色めきたち、いきなり質問を投げかけてきた。
「給食っていつから始まったんですか?」
次はわたしが「えっ…!」となる。昔って言っても、そんな昔ちゃうよ…。でも、彼らにとってみたら、20年前も50年前も同じく「昔」なんだろうな。てきとうに「50年くらい前ちゃうかな?」と答えてみたら、(実際はたぶん戦後すぐ始まってるはず。 わたしにとっては50年前と70年前に大きな違いがないことがわかる)次の質問が飛んできた。
「給食で好きやったものってなんですか?」(律儀に敬語)
「うーん、今はもう無いかもしれんけど、ムースが好きやったなあ」
「あっ今もある!白くてやわらかいやつ!」
「そうそう、アイスみたいなゼリーみたいな」
今もあるんやあ、と喜んでいるわたしに、彼は最後の質問をする。
「脱脂粉乳飲んでましたか?」
ガーン。たしかに、うちらも小学生のとき社会科か何かで「昔の給食では牛乳ではなく、脱脂粉乳と呼ばれるものを飲んでた」って習った記憶あるけど…。あるけど…。
「……いや~…、脱脂粉乳は、君らのおばあちゃんくらいの人らが飲んでたんちゃうかなあ。うちらのときは、瓶の牛乳やったよ」
「今も瓶です!」
「ほんま?キャップは黄緑?」
「キャップは赤とか青とか」
「へえー」
そこで彼は、同級生たちにわたしを紹介しようと思い立ち、叫ぶ。さてこの子は、わたしのことをお姉さんって呼ぶだろうか、それともおばさんって呼ぶだろうか。子連れだし、おばさんでも全然いいけど、と思いつつ興味深くきいていると、
「みんなー!この…(迷っている)女の人も、20年前五小通ってはってんて!」
女の人!彼なりに気を遣ってくれたんやろね。
「20年前ってことは32歳や!」
と一人の子が返す。6年生は12歳で、それプラス20年っていうのを一瞬で計算したみたい。かしこいなあ。
わたしは答える。「ん~、29歳やでー」
小学校3年生ってことはみんな9歳なので、それにくらべたらものすごく年寄りに思うだろうなーと思っていたら、
「若っ」
と返ってきた。
そもそも同じ土俵ではなく、親世代とくらべたみたい。
「うちのお母さんなんて今年37やで」
「うちは45」
「うちのお父さんはもうすぐ60。しかも白髪でしかもハゲてきてて、かつらやねん」
やばい、シンくんが大きくなったらわたしも色々世間にバラされることを覚悟しなくては…。にしても、やっぱりわたしたちが小学生のときより、親御さんの平均年齢は上がってるなあ。
シンくんと一緒だと、訝しがられずにいつまででも公園にいられるので、また行こう。子連れだと行けない場所がたくさんあることはわかっていたけど、逆に子連れだからこそ行ける場所もたくさんあるってことに、最近気づいた。

Shinyなひび

Birgitteが来日している。彼女とは何でも話せる。大人になるにつれ、何でも話せる人がどれだけ貴重かよくわかる。そしてそういう人とは、別に何も話さなくても、そばにいるだけでうれしい。
シンくんの名前のスペル(Shin) を見たとき、英語の Shine(光る、照らす、輝く) という言葉を思い出した、と彼女に言われた。そんなこと、ちっとも思いつかなかった。それから、わたしが「シンくん!シンくん!」と呼んでいるのをきいて、デンマーク語の「Skinken」という音に似てる、と言って笑う。どういう意味?と訊ねると「ハム」だそう。

3月6日(火)

インド・タイの長旅(3ヵ月半くらい?)から帰ってきた妹がおみやげをくれた。太陽と月の木彫りのモチーフと、アースカラーのスカーフ。ぱっと見たときランチョンマットかと思った。あとパンプキンシード。
そのパンプキンシードと納豆をごはんに混ぜて、韓国海苔を巻いて食べたら、無駄にエキゾチックな納豆ご飯って感じで、すごくおいしかった。シンくんは、ここ一週間くらいでつかまり立ちがじょうずになった。移動はもっぱらずりばい。普通のはいはいも数歩はするけど、ずりばいの方が高速。妹は20日からまた半年くらいスペインに行くみたい。わたしは北国大好き、妹は南国大好きなのだ。

3月5日(月)

とあるメモを探して、2009年につけていたノートをひっぱりだした。
そこに書きつけていた言葉。
「具体的なものをタイミングよく的確にとらえれば
 それは象徴に通ずる」
たぶん、庄野潤三の本に出てきたはず。

そのノートには、その年の秋にヨーロッパを訪れたときの日記もあった。デンマークでは、Birgitteの家に滞在。その最終日、彼女は自分の作品をどこかのエキシビションに飾るために、鍵をわたしに預けて朝早く出発してしまっていた。なので、わたしはひとりで彼女のフラットにいて、日記をつづっていた。

「でもきっとまた会える。
わたしはわたしの生活にほこりをもち、
物語を描きつづけなくてはいけない。
夫を大切にして、
もしかしたらうまれるかもしれない
こどものことも愛して。
すでにあるconfortableな場所に
安住するのではなく、どこかにあたらしくつくる。
あたらしい世界(の一部)をつくる。
それこそがいちばんcreativeなことだろう。

コペンハーゲンにこれてよかった。
Birgitteに会えてよかった。」

それを書いたあとは、古着屋さんに行って、またフラットに戻って前夜の残りのパスタとサラダを冷蔵庫から出して食べ、荷作りをして、鍵を指定された場所に隠して、空港に向かったのだった。

その彼女がいま日本にやってきている。もうすぐ、会える。

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織田 りねん

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